■基本情報
- 和名: イワツバメ(岩燕)
- 英名: Asian House Martin
- 学名: Delichon dasypus
- 分類: スズメ目 ツバメ科 イワツバメ属
■形態的特徴
- 色や大きさ: 全長約13cm、翼開長約27〜29cmと、日本で最も身近なツバメ(全長約17cm)と比べて一回り小柄でずんぐりとした体型をしています。頭部から背中、翼の上面は光沢のある美しい藍黒色(紺黒色)をしており、お腹側はややくすんだ純白〜灰白色をしています。
- 鳴き声: 飛行中や巣の周りで「ジュリッ、ジュリッ」「プリッ、プリッ」あるいは「チー、チー」といった、ツバメよりも少し濁った低めの声でせわしなく鳴き交わします。
- その他の特徴: 最大の特徴は、腰(背中の下部)が四角く大きく白く抜けている点です。これにより、飛んでいるときでも通常のツバメやコシアカツバメから一目で識別することができます。また、ツバメのように尾羽が長く二股に深く割れた「燕尾」ではなく、尾羽が短く切れ込みが浅い(バビ状)のも大きな特徴です。さらに、足の指(足首から先)まで白い細かな羽毛がびっしりと生え揃っている珍しい特徴を持っています。
■分布地域(日本・海外)
- 日本: 主に「夏鳥」として、春(3月〜4月頃)に繁殖のために全国に渡来します。秋(10月頃)になると、越冬のために南西諸島や東南アジアへと南下します。ただし、近年では暖冬の影響などにより、本州中部以西の平地や沿岸部でそのまま冬を越す「冬鳥」の個体群も確認されるようになっています。
- 海外: ロシア極東部、中国、朝鮮半島、台湾、ヒマラヤ山脈などで繁殖し、冬になると東南アジア、フィリピン、インドネシアなどへ渡って越冬します。
■生態・行動
本来は高山帯や急峻な渓谷の断崖絶壁、海岸の岩壁などに生息する鳥ですが、現代では都市部の高架橋、ダム、ビル、駅のホーム、マンションの軒下といったコンクリート建造物を「人工の岩場」として巧みに利用し、大都会や住宅街でも広く定着しています。食性は完全な昆虫食で、空中の高い位置を高速で旋回しながら、飛んでいるハエ、蚊、アブラムシ、羽アリなどの小さな飛翔昆虫を口を大きく開けて捕食します。
■その他の特筆すべき特徴
和名の「イワ(岩)」は、本来の繁殖地が岩壁であったことに由来しています。ツバメが泥と枯れ草を混ぜて「お椀型(上部がオープン)」の巣を作るのに対し、イワツバメは泥と唾液だけを固めて「壺型・丸型(横に小さな出入り口の穴があるだけ)」の完全に密閉された巣を、コンクリートの壁面に何十、何百と密集させて集団繁殖地(コロニー)を作る大変強い社会性を持っています。巣作りの時期には、地面に降りて泥をくわえ上げる姿がよく観察されます。また、ツバメよりもはるか上空の高度(高い空)を飛ぶことが多く、雨が降りそうになると餌となる昆虫の高度が下がるため、低空を飛ぶようになります。


