イヌワシ

イヌワシが飛翔している写真 山野の鳥

■基本情報

  • 和名: イヌワシ(犬鷲、狗鷲)
  • 英名: Golden Eagle
  • 学名: Aquila chrysaetos
  • 分類: タカ目 タカ科 イヌワシ属

■形態的特徴

  • 色や大きさ: 全長はオスが約75〜85cm、メスが約80〜90cm、翼開長(翼を広げた長さ)は170〜215cmに達する大型の猛禽類です。メスの方がオスよりも一回り大きくなります。全身は黒褐色(ダークブラウン)の羽毛に覆われており、成鳥は後頭部から首の後ろにかけての羽毛が光沢のある美しい黄金色(ゴールデンブラウン)をしています。これが英名の「Golden Eagle」の由来です。
  • 鳴き声: 基本的には滅多に鳴かず物静かですが、繁殖期やペア同士の通信、雛がエサをねだる際などに「ピィッ、ピィッ」あるいは「キィッ、キィッ」と、その巨体に似合わない高くてか細い声で短く鳴くことがあります。
  • その他の特徴: くちばしは黒色で先端が鋭く下向きに大きく曲がっており、基部は黄色をしています。足の指(趾)は鮮やかな黄色で、強靭な黒く長い爪を備えており、獲物を締め殺すための強大な握力を持っています。タカ科の他のグループ(オオワシなど)との違いとして、足の足首(ふ蹠)まで頑丈な羽毛がびっしりと生え揃っているのが大きな特徴です。若鳥のうちは翼の裏側(下雨覆)と尾羽の基部に、飛んだときによく目立つ大きな白い斑紋があります。

■分布地域(日本・海外)

  • 日本: 亜種ニホンイヌワシが、本州、四国、九州の山岳地帯に「留鳥」として一年中生息しています。ただし、開発や環境悪化に伴い個体数が激減しており、国の天然記念物および国内希少野生動植物種に指定されている絶滅危惧IA類(CR)の極めて貴重な鳥です。
  • 海外: ユーラシア大陸、北アメリカ大陸、北アフリカの世界中の亜寒帯から温帯地域にかけてきわめて広く分布しています。大陸の北方で繁殖する個体群は、冬になると南部へと渡りを行います。

■生態・行動

主に高山帯から亜高山帯、あるいは低山の岩壁や開けた草原、急峻な谷筋などに生息します。つがい(ペア)の縄張り意識が非常に強く、広大な山岳エリアを領地として一生を同じ場所で過ごします。上昇気流を巧みに利用して大空を優雅に円を描くように帆翔(ソアリング)し、極めて優れた視力で数キロメートル先の獲物を発見します。食性は完全な肉食性で、ニホンザルの幼獣、ニホンカモシカの幼獣、ノウサギ、ヤマドリ、ヘビなどを主食としています。時速200〜300キロメートル近くに達する猛烈なスピードで上空から急降下し、強靭な爪で獲物を一撃で仕留めます。

■その他の特筆すべき特徴

その圧倒的な強さと気高き佇まいから「鳥類の王者(空の王者)」と称され、古くから世界各地の国旗や紋章(ローマ帝国、アメリカ合衆国、ドイツなど)のモチーフとして広く崇められてきました。日本では断崖絶壁の岩棚に木の枝を積み重ねて直径2メートルにも及ぶ巨大な巣を作り、早春から子育てを開始します。しかし、近年は餌となるノウサギなどが棲む明るい草原(草地)が山林の密集化によって減少していること、地球温暖化や人間による攪乱などが原因で、日本国内での繁殖成功率が著しく低下しており、絶滅の危機を救うための懸命な保護活動が各地の山岳地帯で続けられています。

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