ヤマセミ

ヤマセミが飛翔している写真 山野の鳥

■基本情報

・和名:ヤマセミ(山翡翠)
・英名:Crested Kingfisher
・学名:Megaceryle lugubris
・分類(科目):ブッポウソウ目カワセミ科

■形態的特徴

・色や大きさ:全長は約38cmで、ハトよりも一回り大きく、日本に生息するカワセミの仲間では最大の種類です。全身の羽毛が白と黒のカノコ(鹿の子)斑模様(細かい斑点模様)になっており、全体的に「モノトーン(白黒)」のシックな装いをしているのが特徴です。
・鳴き声:飛行時や縄張りを主張する際に「ケッ、ケッ」あるいは「キャラッ、キャラッ」と、非常に硬く鋭い金属的な大声を出して鳴きます。渓流のせせらぎの中でもよく通る声です。
・その他の特徴:頭部に「冠羽(かんうぃ)」と呼ばれる、武士の兜の鍬形(くわがた)のように大きく発達した飾り羽があるのが最大の特徴です。興奮するとこの冠羽をピンと逆立てます。オスは胸に赤褐色(レンガ色)の斑紋が混ざり、翼の内側も淡い赤褐色を帯びます。メスは胸が白く、翼の内側だけが赤褐色をしています。

■分布地域(日本・海外)

・日本:留鳥として、全国(北海道、本州、四国、九州)の河川の上流から中流域、湖沼、ダム湖周辺に一年中広く生息しています。ただし、生態系の頂点に近い存在であるため、個体数はあまり多くありません。
・海外:アフガニスタン、ヒマラヤ、インド北部、中国、朝鮮半島、インドシナ半島など、アジアの温帯から熱帯にかけて分布しています。

■生態・行動

・生息環境と食性:山間の清流や、周囲を森林に囲まれた自然豊かな水辺環境を好みます。完全な魚食性で、水面を見下ろせる岩の上や張り出した枝、電線などを「見張りポスト」として陣取ります。
・ダイナミックな狩り:獲物を見つけると、空中から一気に水中へ急降下(ダイブ)し、主食であるアマゴ、ヤマメ、イワナ、アユなどの淡水魚を嘴(くちばし)で上手に捕らえます。時には水面上空でホバリング(空中停止飛行)をしながら魚を狙うこともあります。
・採食の習性:捕らえた魚は一度見張り台へと運び、叩きつけて弱らせてから、必ず「頭から丸呑み」にします。その後、消化できなかった魚の骨や鱗を「ペリット」と呼ばれる塊にして口から吐き出します。

■その他の特筆すべき特徴

その白黒の美しい斑模様と立派な冠羽のシルエットから、バードウォッチャーやカメラマンの間で「渓流の王様」として絶大な人気と憧れを集める野鳥です。カワセミ類としては珍しく、崖の土手に自分たちで巣穴を掘る生態を持っています。春の繁殖期になると、川沿いの垂直な砂質の土手や崖に、太いくちばしを使って水平に長さ1m〜2mにも達する深い横穴(巣穴)を夫婦で協力して掘り進め、その奥で子育てを行います。近年、河川改修による護岸のコンクリート化やダム建設などによって、営巣に適した天然の土手が激減しており、それに伴い全国的に生息数が減少傾向にあります。

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