■基本情報
・和名:コアジサシ(小鰺刺)
・英名:Little Tern
・学名:Sternula albifrons
・分類(科目):チドリ目カモメ科
■形態的特徴
・色や大きさ:全長は約28cm、翼開長(翼を広げた長さ)は約53cmで、アジサシ類の中では小型の種類です。夏羽の成鳥は背中や翼の上面が薄い灰色、お腹側や尾羽は鮮やかな白色をしています。頭頂部から後頭、目を通る線は黒色でヘルメットをかぶったように見えますが、額(おでこ)の部分だけは逆三角形に白いのが特徴です。冬羽になると頭部が白っぽくなります。
・鳴き声:飛行時や採食中、コロニー周辺などで「キリッ、キリッ」あるいは「ギリッ、ギリッ」と聞こえる、鋭く高い金属的な声で騒がしく鳴きます。
・その他の特徴:夏羽では、細長く尖った嘴(くちばし)が鮮やかな黄色で先端だけが黒く、脚は橙黄色(オレンジ色)をしています。冬羽になると嘴と脚は黒っぽく変化します。ツバメのように深く二つに切れ込んだ長い尾羽(燕尾)を持っています。
■分布地域(日本・海外)
・日本:夏鳥(または旅鳥)として、春(4月頃)に本州以南の海岸や河川などに広く飛来し繁殖します。子育てを終えた秋(9月頃)には、南の国へと渡っていきます。北海道では稀に迷鳥として記録される程度です。
・海外:ユーラシア大陸の中緯度地域、ヨーロッパ、北アフリカ、アジアなどで広く繁殖し、冬期はアフリカ、インド、東南アジア、オーストラリア、ニュージーランドなどの沿岸部へ渡って越冬します。
■生態・行動
・生息環境と食性:主に砂浜、河原、中州、埋立地などの開けた砂礫地に生息します。魚食性で、水面の上空数メートルをホバリング(空中停止飛行)しながら獲物を狙い、見つけると頭から一気に水中へ急降下ダイブして、表層近くを泳ぐ小魚(アジの幼魚など)やエビなどを嘴で捕らえます。漢字の「鰺刺」はこの生態に由来します。
・繁殖:初夏(5月〜8月頃)に、多数のペアが集まって「コロニー」と呼ばれる大きな集団繁殖地を形成します。地面の砂や砂利を浅く掘っただけの簡素な巣を構え、通常2〜3個の卵を産みます。
■その他の特筆すべき特徴
・求愛給餌:繁殖期の前に、オスが捕らえた小魚を嘴にくわえてメスにプレゼントする「求愛給餌(求愛ダンス)」を行う微笑ましい生態が見られます。
・擬態(保護色):卵や雛は砂礫地の石や貝殻にそっくりのまだら模様(保護色)をしており、天敵に見つかりにくいよう地面に同化しています。
・保全状況と環境変化:近年、河川改修や砂浜の減少、埋立地の開発、天敵による捕食などの影響で繁殖適地が激減しています。国内の生息数は深刻な減少傾向にあり、環境省のレッドリストでは「絶滅危惧ⅠB類(EN)」に指定され、各地で積極的な保護活動が行われています。


