タマシギ

タマシギのメスの写真 水辺の鳥

■基本情報

・和名:タマシギ(珠鴫)
・英名:Greater Painted-snipe
・学名:Rostratula benghalensis
・分類(科目):チドリ目タマシギ科

■形態的特徴

・色や大きさ:全長は約23cm〜28cmで、ムクドリより一回り大きいです。鳥類では非常に珍しく「逆転した雌雄淘汰」が行われるため、メスの方がオスよりも圧倒的に鮮やかで美しい羽色をしています。メスは頭部から背面が濃い暗褐色で、胸が鮮やかな栗色(赤褐色)をしており、目の周りには白い勾玉状(しずく型)の大きな斑紋があります。オスは全体的に黄褐色と灰色の地味なまだら模様で、目立たない保護色をしています。
・鳴き声:メスは繁殖期に「コッ、コッ」や「コォー、コォー」という、竹筒を叩くような低い音を夜間に繰り返し響かせます。オスは「ピュッ、ピュッ」と細い声で鳴きます。
・その他の特徴:嘴(くちばし)は細長く、先端がわずかに下方に湾曲しています。目が非常に大きく、夜行性の生態に適した顔立ちをしています。

■分布地域(日本・海外)

・日本:留鳥または漂鳥として、本州中部以南、四国、九州、南西諸島に生息します。北日本(東北や北海道)ではほとんど見られません。積雪のある地域では、冬になると温暖な地域へ移動します。
・海外:アフリカ大陸、インド、東南アジア、中国南部、台湾、オーストラリアなど、世界の熱帯から温帯にかけて広く分布しています。

■生態・行動

主に水田、休耕田、湿地、蓮田(ハス田)などの泥深い水辺環境を好みます。基本的には夜行性(または薄明薄暮性)であり、日中は稲の隙間や草むらの中にじっと身を潜めています。夕方から夜間にかけて活発に動き回り、長い嘴を泥の中に差し込んで、ミミズ、甲殻類、水生昆虫、クモ類のほか、草の種子なども採食します。

■その他の特筆すべき特徴

鳥類の中でも極めて特異な「一妻多夫制(いっさいたふせい)」という繁殖生態を持っています。繁殖期になると、美しく着飾ったメスが縄張りを作り、低い声で鳴いてオスを誘います。つがいが形成されて営巣・産卵が終わると、メスはすぐに別のオスを求めて去ってしまいます。そのため、残された卵の抱卵(温めること)や、孵化した雛の育雛(子育て)はすべて地味な羽色をしたオスが単独で命がけで行います。近年の水田の乾田化や減反、農薬の使用などにより、国内では生息数が減少傾向にあります。

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