■基本情報
- 和名(漢字名):カシラダカ(頭高)
- 英名:Rustic Bunting
- 学名:Emberiza rustica
- 分類(科目):スズメ目ホオジロ科ホオジロ属
■形態的特徴
- 色や大きさ:全長は約15cm、翼開長は約24cmで、スズメとほぼ同等かやや大きめのサイズです。体の上面は褐色で黒褐色の斑(縦斑)があり、腰の部分は赤褐色をしています。下面(お腹側)は白色をベースに、胸に褐色の帯状斑、脇腹には赤褐色〜茶褐色の縦縞模様(縦斑)が入るのが大きな特徴です。また、嘴(くちばし)や足は薄いピンク色をしています。
- 鳴き声:地鳴きは「チッ、チッ」または「ティッ」と、高音で鋭いものの、ホオジロよりも少し弱くか細い声で鳴きます。冬の終わりから春先の北帰直前にかけて日本国内でもさえずり(繁殖期の歌)を聴くことができ、木の上などで「チチッ、チュリリ、チー」「ピピチュルピピピィビィ」といった、ヒバリを思わせる早口で複雑かつ美しい声を響かせます。
- その他の特徴:最大の特徴であり、和名の由来にもなっているのが頭頂部にある短い冠羽です。警戒した時や興奮した時に、この羽毛をヘアスタイルのようにつんと逆立たせます。夏羽のオスは頭部や耳羽が明瞭な黒色へと変化し、白い眉斑(目の上のライン)や喉の白さが一層引き立ちますが、冬羽のオスやメスは頭部が淡い褐色になり、全体的に優しい色合いになります。よく似たホオジロ(特にメス)とは、お腹全体が褐色なホオジロに対し、カシラダカはお腹がはっきりと白い点、および尾羽が短めで全体的にすっきりしたシルエットである点で見分けられます。
■分布地域(日本・海外)
- 日本:主に冬鳥として10月下旬〜11月頃から春先(3月〜4月頃)にかけて、九州以北の全国に渡来します。本州中部以南で広く越冬し、本州北部や北海道では春と秋の渡りの時期に通過していく「旅鳥」としての側面が強いです。平地から山地・丘陵地にある明るい林林縁、農耕地、河川敷、アシ原、公園の草地など、開けた環境を好んで生息します。なお、長崎県の対馬など一部の地域では、稀に繁殖事例が確認されることもあります。
- 海外:シベリアからスカンジナビア半島にいたる、ユーラシア大陸北部の広大な亜寒帯(タイガ)の森林地帯で広く繁殖します。冬季になると南下し、中国東部、朝鮮半島、および日本へと渡って越冬します。
■生態:行動
繁殖期はつがいで縄張りを持って生活しますが、日本で越冬する時期は数羽から数十羽、時には数百羽におよぶ群れを形成して行動します。同じホオジロ科のアオジやホオジロなどの異種と混群を作って行動することもしばしばあります。
一日の大半を採食に費やし、主に地上を両足でピョンピョンと跳ね歩きながら(ホッピング)、地面に落ちているイネ科などの草木の種子(植物食)を主食としてついばみます。繁殖期や春先には、昆虫やクモなどの動物食も積極的に捕食します。
非常に警戒心が強い鳥で、地面での採食中は草陰に器用に身を隠し、物音を立てずに静かに過ごすため見過ごされやすいです。人間の接近や危険を察知すると、羽音を立てて一斉に近くの低木や草地の上に飛び上がり、様子を伺います。ただし、群れとしてのまとまり(統率力)は比較的弱く、驚いた際にはそれぞれの個体がバラバラな方向へ逃げ惑うように飛び立つのが特徴的です。
繁殖期である5月〜7月頃には北方の繁殖地へと帰り、地面や低木の根元、あるいは低い枝の上に草や苔を緻密に編み込んだ椀(おわん)型の巣を作ります。一度に4〜6個の卵を産み、約12〜14日間の抱卵を経て孵化した雛は、その後約10日という短期間で急速に成長し巣立ちを迎えます。
■その他の特筆すべき特徴
かつては日本に渡来する冬鳥の中でも、ツグミと並んで最もありふれた、非常に数の多い代表的な鳥種の一つでした。しかし、ここ数十年の間に、繁殖地や越冬地における環境破壊、地球温暖化による影響などから世界的に個体数が急激に減少しています。
この深刻な減少を受け、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは2016年以降、絶滅の危険性が高い「絶滅危惧Ⅱ類(VU:Vulnerable)」に指定されており、世界的な保護が急務とされている野生動物の一種です。日本の身近な里山環境の豊かさや変化を測る上でも、非常に重要な指標となる野鳥です。


