■基本情報
・和名:ヨシガモ(葦鴨)
・英名:Falcated Duck
・学名:Mareca falcata
・分類(科目):カモ目カモ科
■形態的特徴
・色や大きさ:全長は約46cm〜54cm、翼開長は約78cm〜85cmで、マガモなどよりも一回り小さな中型の淡水ガモです。オスの夏羽(生殖羽)は頭部が光沢のある鮮やかな深緑色と紫褐色をしており、ナポレオンの帽子のような独特のシルエットをしています。メスは全体的に暗褐色の地味なまだら模様です。
・鳴き声:オスは「ピッ、ピークゥ」や「ピュッ、ピュッ」と、細く高い特徴的な口笛のような声を出して頻繁に鳴き交わします。メスは「クワッ、クワッ」と濁った低い声を出します。
・その他の特徴:オスの腰から尾羽の脇にかけて、鎌(カマ)のように細長く湾曲した「三列風切羽」が優雅に垂れ下がっているのが最大の特徴です。胸には美しい黒い鱗状の斑紋がびっしりと並び、喉(のど)は純白色で黒い首輪状の帯が1本通っています。
■分布地域(日本・海外)
・日本:冬鳥として、秋(10月頃)に全国各地の湖沼や河川、沿岸部などに広く飛来して越冬します。北海道や北日本の一部では、ごく少数が留まって繁殖(繁殖鳥)する事例も確認されています。春(3月〜4月頃)になると北へ渡ります。
・海外:シベリア東部、ロシア極東、中国東北部、モンゴルなどの湿地や湖沼で広く繁殖し、冬期は東アジア(中国東部、朝鮮半島、日本など)や東南アジア北部へ南下して越冬します。
■生態・行動
主に水生植物が豊富に生える内陸の湖沼、池、ダム湖、緩やかな河川、あるいは波の穏やかな内湾や汽水域を好みます。基本的には「水面採食ガモ」に分類され、水中に潜ることはせず、水面に浮かびながら、あるいは逆立ちの姿勢になって水底の植物を採食します。ほぼ完全な植物食性で、水草の葉や根、種子を主食とするほか、日中や夜間に周辺の水田や刈り跡に移動して落ち穂や草の種子を食べることもあります。
その他の特筆すべき特徴
そのあまりにも美しいオスの頭部形状と金属光沢の色彩から、バードウォッチャーの間で「日本のカモ類屈指の美しさ」を誇る鳥として非常に人気が高く、そのシルエットから「ナポレオンハット」の愛称で広く親しまれています。世界的には、開発による湿地環境の減少や狩猟などの影響によって生息数が世界的に減少傾向にあり、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは「準絶滅危惧(NT)」に指定され、環境省のレッドリストでも地域によっては保護の対象となっています。繁殖の際は、水辺に近い草原や藪の中の地上の窪みに、枯れ草や自身の胸のダウン(綿羽)を敷き詰めた精巧な巣を作ります。


