■基本情報
・和名:ハジロカイツブリ(羽白鳰)
・英名:Black-necked Grebe / Eared Grebe
・学名:Podiceps nigricollis
・分類(科目):カイツブリ目カイツブリ科
■形態的特徴
・色や大きさ:全長は約28cm〜35cmで、ハトと同じくらいの大きさです。夏羽は頭部から背面、胸が真っ黒になり、目の後ろに金色の美しい飾り羽が扇状に広がります。また、脇腹が鮮やかな栗色(赤褐色)に染まります。冬羽は一転して上面が黒褐色、下面が純白色というシンプルな白黒の配色に変わります。
・鳴き声:日本では基本的には静かですが、繁殖地や春の渡りの直前には「プィー、プィー」や「ピッ、ピッ」という高く澄んだ声を響かせることがあります。
・その他の特徴:名前の通り、翼を広げて飛翔した際に風切羽の大部分(「羽」の真ん中)に明瞭な「白(ハジロ)」い帯が現れるのが最大の特徴です。虹彩(目)がルビーのように鮮やかな「真っ赤」をしており、冬羽の際も強いアクセントになります。嘴(くちばし)は黒く、先端がわずかに上向きに反っています。
■分布地域(日本・海外)
・日本:冬鳥として、秋(10月〜11月頃)に全国各地の沿岸、内湾、河口、湖沼などに広く飛来して越冬します。特に関東以西の沿岸部や、島根県の宍道湖、琵琶湖などに大きな群れを作って定着する傾向があります。春(4月頃)になると北へ渡ります。
・海外:ユーラシア大陸の中緯度地域、北アメリカ大陸西部、アフリカ大陸南部などに非常に広く不連続に分布しています。
■生態・行動
カイツブリ類のなかでも特に海洋性が強く、冬期は主に波の穏やかな内湾や沿岸の海上に集団で生活します。極めて高い潜水能力を持っており、水面に浮かんだ状態から一瞬で水中へ潜り、数十秒間潜水して採食します。主食は動物食で、水中にいる小型の魚類、甲殻類(エビやヨコエビ)、水生昆虫、ゴカイなどを捕食します。非常に社会性が強く、冬の海上では数十羽から、時には数百羽に及ぶ過密な大群(フラック)を形成し、一斉に潜水と浮上を繰り返す独特の集団行動を見せます。
■その他の特筆すべき特徴
他のカイツブリ類(ミミカイツブリなど)と冬羽が酷似していますが、本種は首の前側まで黒みがかって見える点や、嘴がわずかに上を向いている点、頭頂部がやや尖って絶壁頭に見えるシルエットなどで識別が可能です。足の指にはキジカクシのような木の葉状の「弁足(べんそく)」があり、これが水中で強力な推進力を生み出します。陸上を歩くことはほとんどできず、巣作りの際も水面に浮かぶ浮き巣を植物の葉などで器用に作り上げます。


