■基本情報
・和名:レンカク(蓮角)
・英名:Pheasant-tailed Jacana
・学名:Hydrophasianus chirurgus
・分類(科目):チドリ目レンカク科
■形態的特徴
・色や大きさ:夏羽は全長が約43cm〜55cmになりますが、そのうち尾羽が約25cm近くを占めます。夏羽の成鳥は、頭部と喉、翼(雨覆)が純白色、首の後ろ(後頸)が美しい黄金色、胴体は濃いチョコレート色(暗褐色)をしています。冬羽になると長い尾羽は抜け落ちて全長は約31cmと小柄になり、上面が褐色、下面が白の地味な配色に変わります。
・鳴き声:繁殖期や飛翔時に「ミュー、ミュー」あるいは「クウォーン、クウォーン」と、まるで子猫が鳴くような、あるいは電子音のようにも聞こえる独特の少し鼻にかかった声で鳴きます。
・その他の特徴:最大の特徴は、体長と同じくらい、あるいはそれ以上に細長く発達した「足の指と爪」です。また、夏羽のオス・メスはキジのように長く優雅に垂れ下がる中央尾羽を持ち、飛翔時にはこれが美しくなびきます。
■分布地域(日本・海外)
・日本:数少ない「旅鳥」または「迷鳥」として、主に夏から秋(6月〜10月頃)にかけて全国各地の湖沼やため池、水田などに稀に飛来します。定期的な渡りのルートからは外れており遭遇率は極めて低いですが、近年は静岡県、滋賀県、九州や南西諸島などで記録されることが多い珍しい鳥です。
・海外:インド、東南アジア、台湾、中国南部などに留鳥または夏鳥として広く分布しています。
■生態・行動
・生息環境と食性:ヒシやハス(蓮)、スイレン、ホテイアオイなどの浮葉植物が水面を激しく覆い尽くしているような湖沼、ため池、湿地に生息します。食性は雑食性で、水草の葉の上を歩き回りながら、水生昆虫、小型の甲殻類、貝類、クモ類のほか、水生植物の種子や芽なども嘴(くちばし)でついばんで食べます。
・水上を歩く能力:極端に長く発達した足の指と爪によって体重が広範囲に分散されるため、底が深い水の上でも沈むことなくハスやヒシの葉の上を軽々と忍者のように歩く(走る)ことができるという、本科特有の驚異的な生態を持っています。
■その他の特筆すべき特徴
・一妻多夫制の繁殖:タマシギなどと同様に、鳥類では極めて珍しい「一妻多夫制(いっさいたふせい)」の繁殖生態を持っています。繁殖期になると、色彩がわずかに鮮やかなメスが縄張りを作り、別のオスと次々と交尾して卵を産み落とします。巣作り、抱卵、そして孵化した雛の育雛(子育て)といったすべての苦労は、残されたオスが単独で命がけで行います。
・水に浮かぶ巣:ハスやヒシの葉をクモの糸や植物の繊維で器用に編み込み、水面に浮かぶ「浮き巣」をオスの手で作ります。増水などで巣が水没しそうになると、オスが卵を嘴で挟んだり抱いたまま別の安全な葉の上へと移動させるという非常に献身的な親心を見せます。その優雅でエキゾチックな姿から、バードウォッチャーの間で「水上の妖精」として絶大な人気を誇る珍鳥です。



数少ない旅鳥ですが、2025年9月に地元の琵琶湖に長い間滞在していました。


