オオマシコ

オオマシコのオスの写真 山野の鳥

■基本情報

  • 和名: オオマシコ(大猿子)
  • 英名: Pallas’s Rosefinch
  • 学名: Carpodacus roseus
  • 分類: スズメ目 アトリ科 オオマシコ属

■形態的特徴

  • 色や大きさ: 全長約16〜17cmと、スズメより一回り大きく、カワラヒワやアトリに近いがっしりとしたずんぐり体型の小鳥です。オスとメスで羽色が大きく異なり、成鳥のオスは全身が鮮やかな薔薇色(濃いピンク色〜赤色)の羽毛に包まれています。さらに、額と喉元には銀白色の細かな羽毛が美しく散りばめられており、これが独特なコントラストを作ります。一方、メスは赤みが非常に薄く、全体が灰褐色(淡い茶系)ベースで、胸や腰のあたりにほんのりと淡いピンク色が差す程度の落ち着いた色合いをしています。
  • 鳴き声: 飛び立つ時や飛行中に「チッ、チッ」「ピポ、ピポ」と、優しく澄んだ細い声で短く鳴き交わします。日本では冬に渡来するため、比較的物静かで大きな声で鳴くことは稀です。
  • その他の特徴: 背中には黒褐色の太い縦縞模様(縦斑)があり、翼には2本の細い白帯(翼帯)がはっきりと現れます。くちばしはアトリ科特有の太く短い円錐形をしており、色はくすんだ鉛色(灰色)です。和名の「マシコ(猿子)」は、オスの顔や体が猿(ニホンザル)の顔のように赤くなることに由来しています。

■分布地域(日本・海外)

  • 日本: 主に「冬鳥」として、秋(11月頃)にシベリア方面から本州中部以北(特に東北地方や関東甲信越の山地)の主に山岳地帯に渡来します。西日本や九州では観察記録が非常に少ない「数少ない冬鳥」です。ハギマシコやベニマシコなど他のマシコ類と比べて、より標高の高い山林や林道を好む傾向があります。
  • 海外: シベリア東部、モンゴル北東部、サハリン(樺太)などの亜寒帯の広大な針葉樹林帯で広く繁殖します。冬になると、中国北東部、朝鮮半島、日本などへと南下して越冬します。

■生態・行動

主に低山から亜高山帯の落葉広葉樹林、カラマツ林、林道、河川敷の低木林などに生息します。食性は植物食の傾向が非常に強く、地面や枝先をピョンピョンと跳ねるように移動しながら、ハギ、キハダ、ズミなどの樹木の実や種子、草の種などを群れで熱心に拾って食べます。特にハギの仲間(萩の実)が大好物です。年間を通じて数羽から十数羽、時にはそれ以上のまとまった静かな群れを形成して行動することが多いです。

■その他の特筆すべき特徴

その息をのむような鮮やかな薔薇色の体色から、バードウォッチャーや写真家の間で「冬の妖精」や「憧れの赤い鳥」として絶大な人気を誇るスター的な野鳥です。渡来する場所が山奥の林道や標高の高い山林に限られることが多く、平地の公園などで日常的に出会うことは難しいため、見られる場所には多くの野鳥ファンが集まります。人間に対する警戒心が比較的薄い個体が多く、こちらがじっと静かに待っていれば、目の前のハギの藪や林道に降りてきて熱心にエサを食べる姿を間近でじっくりと観察させてくれる、愛らしくも美しい鳥です。

オオマシコ♀
タイトルとURLをコピーしました