■基本情報
・和名:サンショウクイ(山椒食)
・英名:Ashy Minivet
・学名:Pericrocotus divaricatus
・分類(科目):スズメ目サンショウクイ科
■形態的特徴
・色や大きさ:全長は約20cmで、スズメより一回り大きく、尾羽が長いため全体的にほっそりとしたスマートな体型をしています。背面はスタイリッシュな灰色(ネズミ色)で、お腹側は純白色をしています。オスは頭頂部から過眼線にかけてが明瞭な黒色で、額の白色が目立ちます。メスはオスに比べて頭部の黒みが薄く、全体的に淡い灰色をしています。
・鳴き声:飛行中や移動中によく「ヒリリリン、ヒリリリン」あるいは「ピリリ、ピリリ」と、高く澄んだ特徴的な声で鳴き交わします。この鳴き声の聞きなしから、「山椒を食べてピリリと辛がっている」と見立てられたことが名前の由来です。
・その他の特徴:飛翔時には、翼の風切羽の基部にある白い帯(翼帯)がくっきりと現れます。キセキレイやヒヨドリのように、羽ばたきと滑空を交互に繰り返して波型を描くように飛行する習性があります。
■分布地域(日本・海外)
・日本:夏鳥として、春(4月下旬頃)に本州、四国、九州の平地から山地の森林に広く飛来して繁殖します。秋(8月下旬〜9月頃)の渡りの時期はカモ類や他の夏鳥よりも早く、数十羽の群れを作って南へ渡っていきます。
・海外:中国東北部、ロシア極東部(ウスリー、シベリア東部)、朝鮮半島などで繁殖し、冬期は中国南部や東南アジア(スマトラ島、ボルネオ島など)へ渡って越冬します。
■生態・行動
主に落葉広葉樹林(トチノキ、ホオノキ、ミズナラなど)や混交林を好み、特に樹林の上層(高木の梢付近)を主な生活圏としています。地上に降りることはほとんどありません。食性は動物食で、樹上の枝先を飛び回りながら昆虫類やクモ類を捕食します。枝先にいる獲物をホバリング(空中停止飛行)しながらついばんだり、飛んでいる虫をフライングキャッチしたりします。
■その他の特筆すべき特徴
巣作りの隠蔽技術が極めて高いことで知られています。地上から4〜15mほどの高い木の横枝や木の又に、枯れ葉や細い枝、樹皮をクモの糸で精巧に編み込んで皿状の巣を作ります。さらに、巣の外側へクモの糸を使ってウメノキゴケなどをびっしりと貼り付けるため、下から見上げると「木のこぶ(樹瘤)」にしか見えない完璧な擬態を施します。なお、近年の落葉広葉樹林(里山環境)の減少に伴い個体数が減少しており、環境省のレッドリストでは「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」に指定されています(近年急速に北上している亜種の「リュウキュウサンショウクイ」は留鳥として扱われます)。


