ヒシクイ

ヒシクイが着水するときの写真 水辺の鳥

■基本情報

・和名:ヒシクイ(菱喰)
・英名:Tundra Bean Goose(または Bean Goose)
・学名:Anser fabalis
・分類(科目):カモ目カモ科

■形態的特徴

・色や大きさ:全長は約78cm〜89cm、翼開長は約142cm〜175cmで、マガンよりも一回り大きな大型のガンです。全体的な羽色は地味な暗褐色(灰褐色)をしており、首が長がくてがっしりとした体型をしています。
・鳴き声:「グワン、グワン」あるいは「クワッハハッ、グワァハハッ」と、非常に低く濁った太い声を出して群れで鳴き交わします。
・その他の特徴:嘴(くちばし)は全体が真っ黒ですが、先端近く(鼻孔の先あたり)に鮮やかなオレンジ色(黄橙色)の帯状の斑紋が入るのが最大の特徴です。脚もオレンジ色をしています。マガンやカリガネと異なり、お腹に黒い斑点模様(黒斑)が出ない点で見分けられます。

■分布地域(日本・海外)

・日本:冬鳥として、秋(10月頃)に全国(主に宮城の伊豆沼、秋田の八郎潟、新潟の福島潟、茨城の霞ヶ浦、滋賀の琵琶湖、島根の宍道湖など)の限られた湖沼や水田に飛来して越冬します。北海道では主に春と秋の渡りの時期に「旅鳥」として通過します。春(3月頃)になると北へ渡ります。
・海外:ユーラシア大陸北部の広大な地域(タイガやツンドラ地帯)で広く繁殖し、冬期は東アジア(中国東部、朝鮮半島、日本など)やヨーロッパ、カザフスタンなどへ南下して越冬します。

■生態・行動

湖沼、湿地、河川、河口のほか、周辺の広大な水田環境に生息し、家族群を基本単位とした大きな群れを形成して行動します。ほぼ完全な植物食性で、草の葉、茎、根、穀類などを食べます。和名の「ヒシクイ(菱喰)」の通り、湖沼の水底にある水草の「ヒシの実」が大好物で、長いくちばしを使って器用に殻を割り、中身を食べる生態が有名です。また、日中は周囲の水田に移動し、落ち穂や草の根を熱心に採食します。

■その他の特筆すべき特徴

かつては日本に大量に渡来していましたが、明治時代以降の狩猟や開発による生息地の悪化により個体数が著しく激減しました。そのため、1971年に国の「天然記念物」に指定されているほか、環境省のレッドリストでも「準絶滅危惧(NT)」に指定され厳重に保護されています。日本に飛来するヒシクイには、主に東北地方や日本海側に渡来する「亜種ヒシクイ」と、一回り大きくてくちばしが長い、主に茨城県や滋賀県などに渡来する「亜種オオヒシクイ」の2つの亜種が存在し、それぞれ異なる越冬地を好む特徴があります。

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