■基本情報
- 和名: キクイタダキ(菊戴)
- 英名: Goldcrest
- 学名: Regulus regulus
- 分類: スズメ目 キクイタダキ科 キクイタダキ属
■形態的特徴
- 色や大きさ: 全長約10cm、翼開長約15cm、体重はわずか3〜5gほどしかありません。日本の野鳥(鳥類)の中では、ミソサザイやカラフトムシクイなどと並び最小の部類に入り、ピンポン玉に羽をつけたような極小のずんぐりとした体型をしています。背中や翼の上面はくすんだ黄緑色(オリーブグリーン)をしており、お腹側は白っぽくなっています。
- 鳴き声: 「ツィツィツィツィ」「針葉樹の奥から聞こえるような非常に高くて細い、かすれた声」でせわしなく鳴き交わします。人間の耳では年齢とともに聞き取りにくくなるほどの超高音(周波数が高い)が特徴です。さえずりは「ツィツィツィツィ・チュルルル」と細く繊細に歌います。
- その他の特徴: 最大の特徴は、名前の由来にもなっている頭頂部にある鮮やかな「黄色」の冠羽です。この黄色い斑紋が、まるで頭のてっぺんに菊の花びらを戴(いただ)いているように見えることから名付けられました。オスの成鳥は、この黄色い斑の中心部にさらに鮮やかな「オレンジ色(赤色)」の羽毛が混ざりますが、普段は隠れており、興奮したときや求愛時に逆立てて誇示します。目は真っ黒で丸く、周囲が白っぽいため、驚いたような愛らしい顔立ちをしています。
■分布地域(日本・海外)
- 日本: 留鳥または冬鳥(漂鳥)として周年生息しています。夏(5月〜8月頃)は、北海道や本州中部以北の亜高山帯から高山帯(針葉樹林帯)で広く繁殖し、秋から冬になると、厳しい寒さを避けて平地や暖地の低山、丘陵地、都会の大きな公園、社寺の林などへと標高を下げる季節移動(漂流)を行います。
- 海外: ユーラシア大陸の温帯から亜寒帯(ヨーロッパからロシア、シベリア、中国、朝鮮半島など)にきわめて広く分布しています。
■生態・行動
主にマツ、モミ、ツガ、カラマツ、スギなどの針葉樹林に強く依存して生息します。極めて活動的で、じっとしていることが一瞬たりともなく、木の細い枝先や葉の周りをホバリング(空中停止)を交えながらチョコマカと激しく飛び回ります。食性は主に動物食で、小さなハエ、アブラムシ、カイガラムシ、クモ、あるいは樹皮の隙間に隠れている微小な昆虫の卵などを鋭く細いくちばしで捕食します。
■その他の特筆すべき特徴
そのあまりの小ささと愛らしさから、バードウォッチャーの間で非常に人気が高い冬のアイドル的な存在です。ヨーロッパの民話やグリム童話などでは、その頭の黄金の冠のような模様から「鳥の王様(キング・オブ・バーズ)」として登場する文化的な背景を持っています。繁殖の際は、針葉樹の細い枝先に苔やクモの糸を巧みに練り合わせて、下から見えないような精巧な「吊り巣」を作ります。冬期にはシジュウカラやエナガ、キバシリなどの他の小型の鳥たちと混ざって「混群(こんぐん)」を形成し、賑やかに移動しながら採食を行う生態も持っています。


