■基本情報
- 和名: アカアシチョウゲンボウ(赤脚長元坊)
- 英名: Amur Falcon
- 学名: Falco amurensis
- 分類: ハヤブサ目 ハヤブサ科 ハヤブサ属
■形態的特徴
- 色や大きさ: 全長約26〜30cm、翼開長約63〜71cmと、ハトほどの大きさを持つ小型のハヤブサです。オスとメスで羽色が大きく異なり、成鳥のオスは頭部から背中、翼、尾羽にいたる全身の上面がシックな濃い暗灰色(黒灰色)をしており、下腹部から太もも、尾の付け根(下尾筒)にかけてが鮮やかなレンガ色(赤褐色)をしています。一方、メスは頭部が灰色で、背中は灰黒色の横縞模様があり、お腹側は白地に太い黒褐色の縦斑がびっしりと並びます。
- 鳴き声: 「キィ、キィ、キィ」「キキキキキッ」という、小型のハヤブサ類らしい高くて鋭い金属的な声で短く鳴きます。
- その他の特徴: 名前にある通り、アイリング(目の周り)、くちばしの基部(蝋膜)、そして脚(足)が鮮やかなオレンジ色から赤色をしているのが最大の特徴です。若鳥のうちはこれらの部分が黄色みを帯びています。また、オスは飛んだときに翼の裏側の羽(下雨覆)が純白であるため、黒い体とのコントラストが非常によく目立ちます。
■分布地域(日本・海外)
- 日本: 主に秋(9月〜10月頃)の渡りの季節に、極めて稀に数羽が飛来する「数少ない旅鳥(または迷鳥)」です。特に山形県飛島や石川県舄島、あるいは沖縄などの南西諸島で観察記録が多く、日本のバードウォッチャーにとっては出会えたら非常に幸運とされる珍しい鳥です。
- 海外: 中国北東部、ロシア極東部(アムール地方)、北朝鮮、モンゴル東部などで広く繁殖します。冬になると、地球規模の大規模な渡りを行い、アフリカ南部(南アフリカやボツワナなど)へと向かって南下し、そこで越冬します。
■生態・行動
開けた農耕地、草原、牧草地、サバンナ、河川敷などに生息します。食性は主に昆虫食で、バッタ、トンボ、セミ、シロアリなどの大型の昆虫類を主食としています。時には小さなトカゲやカエル、小鳥、ネズミなどを捕食することもあります。電柱や電線、枯れ木のてっぺんなどの見晴らしの良い場所に好んでとまり、獲物を探します。また、空中の一点にとどまって羽ばたく「ホバリング(停空飛翔)」を行い、地上にいる獲物を狙って急降下する行動も得意です。
■その他の特筆すべき特徴
数ある渡り鳥の中でも、「最も壮大で過酷な渡りを行う猛禽類」の一つとして世界的に有名です。繁殖地であるアジア東部から越冬地であるアフリカ南部まで、片道約14,000〜15,000キロメートルもの距離を移動します。そのルートの途中、インド洋を数日間にわたって一気に横断(約3,000キロメートルの海上ノンストップ飛行)するという驚異的な生態を持っています。渡りの時期にはインド北東部(ナガランド州など)の特定の湖の周りに、世界中から数万〜数十万羽という気の遠くなるような大集団が集結し、空を埋め尽くす圧巻の光景が見られることでも知られています。


