■基本情報
- 和名: オオジュリン(大寿林)
- 英名: Common Reed Bunting
- 学名: Emberiza schoeniclus
- 分類: スズメ目 ホオジロ科 ホオジロ属
■形態的特徴
- 色や大きさ: 全長約14.5cmとスズメとほぼ同等の大きさを持つホオジロ類です。オスとメス、また季節によって羽色が劇的に変化します。冬羽はオス・メスともにスズメに非常によく似た茶褐色(ダークブラウン)をベースにした地味な色合いをしています。しかし、春からの繁殖期(夏羽)になると、オスの成鳥は頭部、喉、胸の上部にかけてがまるで黒頭巾を被ったかのように真っ黒(漆黒)へと変化し、首の周りに鮮やかな白い襟巻き状の帯がはっきりと現れます。
- 鳴き声: 飛び立つ時や移動中に「チュィー」「ジュィッ」と、少し濁った独特の細い声で鳴き交わします。この独特の地鳴きを聞き分けることで、ヨシ原の中に隠れていても存在を知ることができます。繁殖地でのさえずりは「チッ、チチョ、チーツー」などとホオジロ類らしい少しのどかな調子で歌います。
- その他の特徴: くちばしは太く短い円錐形をしており、冬は全体がくすんだピンク色(〜くすんだ色)ですが、夏羽のオスはくちばし全体が黒色へと変化します。また、尾羽の外側の羽が白いため、パッと飛び立ったときにこの白いフチがよく目立つ識別ポイントになります。
■分布地域(日本・海外)
- 日本: 「夏鳥」として、春に北海道や東北地方(青森県など)の湿地帯や河川敷に渡来して繁殖します。秋になると寒さを避けて南下し、本州中部以西から四国、九州などでは、冬を越すための「冬鳥」として各地の広大なヨシ原に飛来します。
- 海外: ヨーロッパからシベリア、中国、朝鮮半島にいたる、ユーラシア大陸の温帯から亜寒帯地域にきわめて広く分布しています。北方の地域で繁殖した個体は、冬になると南部へ渡って越冬します。
■生態・行動
名前に「リン(林)」とありますが、森の中ではなく、主に河川敷、湖沼の周辺、海岸の湿地などに広がる広大な「ヨシ原(葦原)」に深く依存して生息します。食性は雑食性ですが、冬期は植物食の傾向が強くなります。冬のヨシ原では、枯れたヨシの茎をくちばしで「パチパチ」と激しく割り、中に潜んでいるカイガラムシなどの昆虫の幼虫を探し出して食べる大変ユニークな採食行動をとることで有名です。繁殖期には貴重なタンパク源としてイモムシやクモなどの昆虫類を多く捕食します。
■その他の特筆すべき特徴
冬のヨシ原を代表する非常にポピュラーなホオジロ類の一種です。冬羽の段階では、同じようにヨシ原を好む近縁種の「シベリアジュリン」や「コジュリン」と見た目が驚くほどそっくりになり、野外識別が極めて難しいグループ(ムシクイ類に並ぶ難関)としても知られています。冬の静かな河川敷を歩いているときに、ヨシ原のあちこちから「パチ、パチ」と木を突つくような小気味よい音が連続して聞こえたら、本種が熱心にヨシの皮を剥いてエサを探している証拠です。


