■ 基本情報
- 和名(漢字表記): 巴鴨(トモエガモ)
- 英名: Baikal Teal
- 学名: Sibirionetta formosa(旧:Anas formosa)
- 分類:
- 目: カモ目(Anseriformes)
- 科: カモ科(Anatidae)
■ 形態的特徴
- オス(繁殖羽):
- 顔に「巴(ともえ)」のような複雑な模様(緑・黒・黄)をもつのが特徴。
- 体は淡褐色で、翼には白と緑の光沢ある翼鏡がある。
- 非常に美しく、ひと目で分かる独特の顔つき。
- メス:
- 全体に地味な褐色。マガモのメスに似るが、顔に淡い線模様がある。
- 体長: 約40cm(マガモよりやや小型)
■ 名前の由来
- オスの顔に見られる巴模様(三つ巴のような形)に由来します。
- 「巴(ともえ)」は日本の伝統的な文様の一つで、神社の屋根瓦などにも見られます。
■ 分布地域(日本)
- 冬鳥として渡来: 主に西日本~東日本の平野部で越冬。
- 特に有名なのは:島根県の宍道湖、滋賀県の琵琶湖、**茨城県の涸沼(ひぬま)**など。
- 繁殖地: ロシア極東(バイカル湖周辺など)
■ 生態・行動
- 生息地: 冬は湖沼、池、湿地、水田などに群れで出現。
- 食性: 雑食。水草の種子、植物質、昆虫、小型甲殻類など。
- 行動: 潜水はあまりせず、水面をついばむ「水面採餌型」。
- 鳴き声: オスは高くかすれた「フィーッ」という声、メスは「ガガガ」など低めの声。
■ その他の特徴
- 日本では冬に数千羽が越冬し、世界的にも重要な越冬地がある。
- 一時期個体数が減少したが、保護活動の効果もあり回復傾向にある。
- 珍しいカモではあるが、比較的観察しやすい冬鳥の一つ。
■ 保全状況
- 国際保護: IUCNレッドリスト「準絶滅危惧(Near Threatened)」
- 日本の環境省レッドリスト: 現在はリスト外(かつては指定あり)