■基本情報
- 和名: カワアイサ(川秋沙)
- 英名: Common Merganser(または Goosander)
- 学名: Mergus merganser
- 分類: カモ目 カモ科 ウミアイサ属
■形態的特徴
- 色や大きさ: 全長約58〜72cm、翼開長約82〜97cmと、日本で見られる淡水カモの中では最大級の大きさを誇り、マガモよりも一回り大柄でスマートな体型をしています。オスとメスで羽色が全く異なり、成鳥のオスは頭部が光沢のある美しい濃緑色(黒緑色)をしており、背中の前部は黒色、胸からお腹、脇腹にかけては汚れのない非常に美しい純白(あるいはほんのりピンクがかった白色)をしています。一方、メスは頭部から首にかけてが鮮やかな栗色(赤茶色)で、喉元が白く、体全体は青みがかった上品な灰色をしています。
- 鳴き声: 非繁殖期(冬の日本飛来時)は比較的物静かで大きな声で鳴くことは稀ですが、ディスプレイ(求愛行動)の際や驚いたときなどに、オスは「クルルッ」「ウーッ」、メスは「クワッ、クワッ」「ギャー、ギャー」という少し濁った低い声を出すことがあります。
- その他の特徴: 雌雄共通の特徴として、細長くて真っ直ぐに伸びた、鮮やかな赤色(紅色)のくちばしを持っています。くちばしの先端は下向きにフック状に鋭く曲がっており、さらにくちばしの内側には魚を絶対に逃がさないための「鋭いノコギリの歯のような突起(鋸歯)」がびっしりと並んでいます。脚も鮮やかな赤色をしています。
■分布地域(日本・海外)
- 日本: 主に「冬鳥」として、秋(11月頃)に全国の河川、湖沼に渡来します。西日本に比べて東日本や北日本に多く飛来する傾向があります。また、北海道の東部(知床半島、風蓮湖、根室周辺など)では、ごく少数が年間を通じて留まる「留鳥」として、大木の樹洞などで小規模に繁殖していることが確認されています。
- 海外: ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の、亜寒帯から温帯の広大なタイガ(針葉樹林帯)の湖沼や河川で広く繁殖します。冬になると、寒さを避けてヨーロッパ中部・南部、中国東部、朝鮮半島、アメリカ合衆国などへと南下して越冬します。
■生態・行動
名前の通り「カワ(川)」や「湖(淡水域)」に強く依存する性質があり、海を好むウミアイサと比べて、大きな河川の中流から上流、広大な湖沼、ダム湖などの淡水域を好んで生息します。カモの仲間ですが完全な魚食性の「潜水カモ」であり、非常に高い潜水能力を持っています。水面を泳ぎながら頭を水中に入れて魚を探し、見つけると一瞬にして深く潜水し、水中を自在に素早く泳ぎ回りながら、アユ、ウグイ、ヤマメ、イワナなどの淡水魚を鋭いくちばしでガッチリと捕らえて丸呑みにします。基本的には数羽から数十羽のまとまった群れで行動します。
■その他の特筆すべき特徴
秋沙(アイサ)という言葉は、秋が去る頃(冬)にやってくること、あるいは「秋去(あきさり)」が転じたという説があります。その美しい姿とダイナミックな潜水行動から、冬の水辺で非常に目立つ存在です。カモ類としては大変珍しく、繁殖の際には森林の大木にある「樹洞(木の穴)」の中に営巣するという習性を持っています。北海道での繁殖の際は、適した大木(キツツキが掘った古い穴など)が減っていることから、人工の大型巣箱を設置する保護活動も行われています。潜水して一斉に魚を追い込む集団狩りを行うなど、非常に高度で知的な生態を持っていることでも知られています。






