ヤイロチョウ

ヤイロチョウの写真 山野の鳥

■基本情報

・和名:ヤイロチョウ(八色鳥)
・英名:Fairy Pitta
・学名:Pitta nympha
・分類(科目):スズメ目ヤイロチョウ科

■形態的特徴

・色や大きさ:全長は約18cmで、ツグミより一回り小さく丸みのある体型をしています。名前の「八色(ヤイロ)」の通り、全身に8色の鮮やかな色彩を散りばめた、日本を代表する極めて美しい美鳥です。頭頂部は鮮やかな赤褐色(栗色)、背中や翼は深みのあるエメラルドグリーン(緑色)と、輝くようなコバルトブルー(青色)をしており、お腹側は淡いバフ色ですが下腹部から尾の付け根(下尾筒)にかけては鮮烈な真紅色をしています。
・鳴き声:繁殖期のオスは、薄暗い森の奥から「ホイヒー、ホイヒー」あるいは「ホヘン、ホヘン」と、やや間を置きながら高く澄んだ美しい口笛のような声でさえずります。
・その他の特徴:目を通る太くて黒い過眼線が後頭部まで伸びており、頭の中央には黒い縦線(頭央線)が走っています。嘴(くちばし)は黒くてまっすぐ尖っており、脚は淡い肉色で比較的長いです。尾羽は極めて短く、ずんぐりとしたシルエットをしています。

■分布地域(日本・海外)

・日本:絶滅が危惧される幻の「夏鳥」として、春(5月頃)に繁殖のために本州(中部以西)、四国、九州の温暖な地域へ非常に少数、局所的に飛来します。特に高知県の四万十川流域や、宮崎県の御池周辺などが伝統的な繁殖地として有名です。秋(9月頃)になると南へ渡ります。
・海外:中国東部、朝鮮半島、台湾などで局所的に繁殖し、冬期は南下してボルネオ島などの東南アジアへ渡って越冬します。世界的に見ても分布の狭い希少種です。

■生態・行動

人里離れたウラジロガシやタブノキなどの巨木が生い茂る、薄暗く湿り気のある常緑広葉樹林の奥深くを好んで生息します。特に、渓流沿いや傾斜の激しい谷間の斜面を生活圏としています。地上性が極めて強く、めったに開けた上空を飛びません。落ち葉の積もった地面をピョンピョンと跳ね歩きながら、主に地中に潜むミミズ類を主食として採食するほか、カタツムリ、カニ、甲殻類、地上性の昆虫類なども捕食します。非常に警戒心が強く、人間の気配を察知するとすぐに深い藪の奥へと逃げ込んでしまうため、姿を捉えることは困難を極めます。

■その他の特筆すべき特徴

そのあまりにも神秘的な美しさと生息数の少なさから、バードウォッチャーの間で「森の妖精(英名:Fairy Pitta)」や「一度は出会いたい日本最高の幻の珍鳥」として絶大な憧れの対象となっています。高知県の「県鳥」にも指定されています。近年、海外の越冬地での森林伐採や、日本国内の繁殖地における人工林(杉・ヒノキ)への植え替え、林道開発による乾燥化などの影響で生息地が著しく激減しています。世界的な絶滅危惧種であり、環境省のレッドリストでも「絶滅危惧ⅠB類(EN)」に指定され、国の「国内希少野生動植物種」として厳重に保護されています。繁殖の際は、樹木の根元の隙間や岩棚の窪み、高い木の枝の又などに、小枝や苔をボール状に丸く積み重ね、側面に小さな出入り口を設けた精巧な巣を作ります。

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