■基本情報
・和名:ハギマシコ(萩猿子)
・英名:Asian Rosy Finch
・学名:Leucosticte arctoa
・分類(科目):スズメ目アトリ科
■形態的特徴
・色や大きさ:全長は約16cmで、スズメよりも一回り大きなサイズです。全体的に黒味が強い暗褐色をベースとした色合いですが、オスの成鳥は腹部、脇、翼の一部に鮮やかな薄紅色(ピンク色)が混ざります。メスはオスに比べて全体的に色が鈍く、ピンク色の部分が非常に淡いです。
・鳴き声:地鳴きは飛行時や群れの移動時などに「ジュッ、ジュッ」や「ジュン、ジュン」、あるいは「キョッ、キョッ」「フィッ、チ」といった少し濁った独特の声でせわしなく鳴き交わします。
・その他の特徴:後頭部から後頸(首の後ろ)にかけて、美しい黄金色(黄褐色)の羽毛が走るのが大きな特徴です。嘴(くちばし)は冬羽では黄色く先端が黒いですが、夏羽になると全体が真っ黒に変化します。
■分布地域(日本・海外)
・日本:冬鳥として、秋から春(11月下旬〜4月下旬頃)にかけて主に北日本や東日本の山間部に渡来して越冬します。西日本や九州では飛来数が非常に少なく稀な鳥です。なお、北海道の大雪山系や利尻山などの高山帯では、夏場も少数が留まり繁殖している可能性(留鳥・夏鳥としての側面)が指摘されています。
・海外:モンゴル、ロシア極東部、シベリア東部、サハリン、千島列島などで繁殖し、冬期は中国東北部、朝鮮半島、日本などへ南下して越冬します。
■生態・行動
山地の岩場やガレ場、林道沿いの法面、海岸の裸地、崖地といった高標高または開けた環境を好んで生息します。繁殖期以外は非常に強い社会性を持ち、数十羽から、時には100〜200羽以上に達する大きな群れを形成して行動するのが特徴です。地上をピョンピョンと跳ね歩きながら、主に草本(雑草)や低木の種子(タネ)を好んで採食します。積雪期には、雪が積もりにくい垂直な崖の斜面や道路脇の法面に群がって貪欲に餌を探す独特の習性があります。危険を察知すると群れが一斉に飛び立ち、空を往復するように波状に流れるように飛び回ってから周囲の木に避難します。
■その他の特筆すべき特徴
和名の「ハギ(萩)」は、お腹や脇に織り成す独特のピンク色の斑紋が、まるで散り敷く萩の花びらのように美しく見えることに由来します。また「マシコ(猿子)」は、古来よりニホンザルの顔のように赤い小鳥を指す言葉として使われていた歴史があります。大群で一斉に斜面に降り立ち、ガレ場や岩の隙間で懸命にタネを拾う姿は冬の風物詩としてバードウォッチャーに親しまれています。海外の繁殖地では、高山の森林限界を超えた極寒の岩礫地にある岩の隙間や陰に、枯れ草を集めて器用にお椀型の巣を作ります。


