圧倒的な描写力と機動性を両立 – Sony FE 600mm F4 GM OSS の魅力
ソニーが誇るG Masterレンズの中でも、ひときわ存在感を放つ超望遠単焦点レンズ「FE 600mm F4 GM OSS」（SEL600F40GM）。その圧倒的な描写力と、意外なほどの機動性を兼ね備えている点が、多くのプロフェッショナルやハイアマチュアフォトグラファーを魅了してやみません。
私は本機を手に入れてから4年ほどになります。普段は手持ち撮影が多いのでSEL400800Gというズームレンズを使用しますが、ここぞの時にはやっぱりこのロクヨンでの撮影となります！今回は、私が使用した経験から、この高性能レンズの魅力に迫りたいと思います。
レンズカバーを外すと、こんな感じ。
主要な仕様
まずは、SEL600F40GMの主な仕様を確認してみましょう。
- レンズ構成: 20群24枚（蛍石レンズ3枚、EDレンズ1枚、大口径非球面XA（extreme aspherical）レンズ1枚を含む）
- 最短撮影距離: 4.5m
- 最大撮影倍率: 0.14倍
- フィルター径: φ40.5mm（ドロップインフィルター）
- 質量: 約3,040g（三脚座除く）
- 手ブレ補正: 光学式手ブレ補正、MODE1/MODE2/MODE3（流し撮り対応）
- 高速・高精度AF: XD（extreme dynamic）リニアモーターによるダイレクトドライブSSM（DDSSM）
野鳥撮影における圧倒的な優位性
SEL600F40GMは、特に野鳥撮影においてその真価を発揮します。
- 600mmという焦点距離: 野鳥は警戒心が強く、近づくのが難しい被写体です。600mmという超望遠焦点距離は、安全な距離から被写体を大きく捉え、細部のディテールまで克明に描写することを可能にします。
- 開放F値4.0の明るさ: 十分な光量を取り込むことができるため、薄暗い環境下や動きのある被写体に対しても、シャッタースピードを稼ぎやすく、被写体ブレを抑制したクリアな画像を撮影できます。また、大きなボケ味は、被写体を際立たせ、印象的な表現を生み出します。
- 高速・高精度AF: ソニーの最先端AF技術であるXDリニアモーターを搭載したダイレクトドライブSSM（DDSSM）は、高速かつ静かで、追従性の高いオートフォーカスを実現。動きの速い野鳥の一瞬の動きを逃さず捉えます。
- 優れた光学性能: 3枚の蛍石レンズやEDレンズ、そして大口径XAレンズといった特殊レンズを贅沢に使用することで、色収差や球面収差などの諸収差を徹底的に抑制。画面の隅々までシャープでコントラストの高い描写を実現します。
- 光学式手ブレ補正: 内蔵された強力な光学式手ブレ補正機構（OSS）は、三脚が使用できない状況や、手持ち撮影時でも安定したフレーミングとシャープな画像を提供します。流し撮りに対応したMODE3も搭載しており、動きのある被写体に対しても効果を発揮します。
野鳥撮影の場合、至近距離で取れることは稀で、殆んどの場合は遠くから、そーっと気づかれないように撮るのが基本となります。従って、超望遠レンズといえどもそんなに大きく撮れるわけではありません。猛禽類など大きな鳥も、飛翔場面は遠くを狙うことになります。その際、もちろんカメラのスペックも大事ですが、トリミングしてもどれだけ綺麗に解像してくれるかがポイントとなります。
そうなると、やはりF4という明るさをもった単焦点の超望遠レンズは野鳥撮影には最適ではないかと思います。
キクイタダキは非常に小さい鳥（スズメより小さい）なので、かなりトリミングが必要です。また、ブログ画像は自動で軽めにリサイズされますので、こんな感じですが、よく解像されていると思います。
弱点となりうる点
高性能なSEL600F40GMですが、いくつかの弱点も考慮する必要があります。
- 価格: プロフェッショナル向けの超望遠レンズであるため、非常に高価です。
- 重量とサイズ: クラス最軽量といえども約3kgを超える重量と大きなサイズは、長時間の持ち運びや取り回しにおいて、体力と慣れが必要です。私も力はある方だと思いますが、手持ちですとやはりブレブレになりますし、長く構えているのは無理です。やはり、三脚使用が必須となります。
- フィルター: 一般的なねじ込み式のフィルターではなく、ドロップインフィルターを採用しているため、専用のフィルターを用意する必要があります。
競合レンズとの比較
SEL600F40GMの競合となる主なレンズとしては、同じくソニーのFE 400mm F2.8 GM OSSや、他社の600mm F4クラスのレンズが挙げられます。
- FE 400mm F2.8 GM OSS: より明るい開放F値を持つため、より被写体を際立たせた描写や、暗い場所での撮影に有利です。一方で、焦点距離が短いため、より被写体に近づく必要があります。テレコンバーターを使用することで600mm相当の焦点距離を得られますが、開放F値は暗くなります。重量はSEL600F40GMよりも若干軽量です。
- 他社製600mm F4クラスのレンズ: 各社、高性能な600mm F4レンズをラインナップしていますが、それぞれにAF性能、手ブレ補正、描写性能、重量、価格などの特徴があります。ソニーのEマウントシステムとの親和性や、最新のAF技術、動画撮影性能などを考慮すると、SEL600F40GMは独自の強みを持っています。
レンズを選択する中で、質量（重量）はとても重要です。少しでも軽いと持ち運びや取り回しが楽ですからね！本機は他社の同類レンズと比べても最軽量の部類に入ります。
ちなみに、ニコンは
- AF-S NIKKOR 600mm f/4E FL ED VR: 約3,810 g
- NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S: 約3,260 g (内蔵テレコンバーターなし)
キヤノンは
- RF600mm F4 L IS USM: 約3,100 g
- EF600mm f/4L IS III USM: 約3,050 g
シグマは、Sigma 300-600mm F4 DG OS | Sportsという、ズームレンズでありながら通しのF4と、画期的なレンズを発表し、Eマウントも準備されていますが、こちらも3,970gと、かなり重くなっています。
持った時のカメラとのバランスも重要ですが、その点でも私が愛用しているα1との相性はとてもいいと思います。
まとめ
Sony FE 600mm F4 GM OSS（SEL600F40GM）は、その圧倒的な描写力、高速・高精度AF、強力な手ブレ補正により、野鳥撮影において最高のパフォーマンスを発揮するレンズと言えるでしょう。価格や重量といったデメリットはありますが、それを補って余りあるほどの描写力と、プロフェッショナルユースにも耐えうる信頼性は、多くのフォトグラファーにとってかけがえのない武器となるはずです。
